怪我なんてしたらどうしよう。


あんなに大好きなサッカーができなくなってしまったらどうしよう…。


不安が押し寄せる。


「意外に根性あるなぁ!!」


藤堂君の前髪を強く引っ張りながら一人の男が楽しそうに言う。


「かっこ悪いから気絶できない?」


「こんな上玉な女の前だもんなー」


クスクスと笑う男達。


「まあそろそろ飽きてきたし、これで終わらせてやるよ」


そう言って男が手に取ったのは鉄パイプ。


中庭の物置にあったものかもしれない。


「…てめぇ…」


藤堂君の目から色が失われる。


「どうなるかな?病院行きかな」


なんて言いながら男はそれを藤堂君の脚の上に構えた。


「ま、これで終わりだな」


…だめ!!!

止めなきゃ!!!


そう思うのに体が動かない。


「あばよ、恨むんならこの女を恨めよ!!!」


そう言って棒を振り下ろしてくる。