「莉子ちゃん?」
藤堂君がびっくりしたようにあたしを見る。
「あたしは藤堂君の辛さとか何もわからないけど、でも今の藤堂君はすごく苦しそうなんだもん!!」
失ったものはきっと大きくて
それを取り返せないでいる自分さえもをきっと責めてる。
声を出せば、言葉にすればするほど涙は溢れた。
でも伝えなきゃ、あたしはきっと後悔する。
「サッカー…もう一度やってよ!!あたし応援するから。さっきみたいな笑顔、もう一度見せてよ」
「…」
苦しそうな表情のまま、藤堂君はあたしの目を真っ直ぐに見つめた。
「莉子ちゃん…俺は…」
「なーにしてんの♪そんなとこでイチャついちゃってさ」
低い声にあたし達は思わず体を離す。
「藤堂じゃん♪」