そんなことあるはずない。


それくらい藤堂君は苦しんだんだもん。


安い言葉じゃ彼を救うことはできない気がして、あたしは抱きしめる腕を強めた。


「…情けなくないよ」


「…」


「…藤堂君は情けなくなんかない」


感情が高ぶっていく。


「それだけサッカーが好きで、仲間が大切だったんでしょ」


「…でも俺はチームには必要なかったんだよ」


「それでも…今あなたはサッカーをやりたいって思ってる」


視線を交わすと、藤堂君は苦しそうに下を向いた。


涙が止まらない。


あたしにできることなんて何もないけど…


「あきらめないでよ」


小さな声でそう呟いた。