「あのっ//」


「少しだけ…このままでいさせて」


恥ずかしくて仕方なかったのに、藤堂君の声を聞いたらあたしは動けなかった。


あまりにもその声が弱々しかったから。


藤堂君…


あたしの手は自然と藤堂君の背中に回っていた。


「…っく」


しばらくそうしているうちに藤堂君の体が震えているのがわかった。


泣いてるの…?


初めて見せた弱さ。


「…怖いんだよ」


消え入りそうな声。


それは、藤堂君の本当の心。


「サッカーは好きで好きで仕方ないのに、あの日のことが忘れられない…」


「うん」


「コートに立っても、ボールを蹴っても、一人な気がするんだ。裏切られるのがただ怖いだけ…過去を引きずって…情けないよな」


涙交じりにそう言った。