逆光に照らされた藤堂君の顔はよく見えなくて。
でも…
「もう一度、サッカー…やらないの?」
あたしは藤堂君のブレザーの裾を掴んだ。
自分で言いだした言葉なのに、裾を掴む左手が震えた。
クス…と小さく笑うと藤堂君がその手の震えを止めるように右手を重ねる。
「…っ///」
あたしは思わず顔をあげると優しい笑顔がそこにはあった。
小さな体なのにごつくて大きな手は男の子を感じさせて、ドキドキしたんだ。
「やりたいよ。今すぐにでも」
思った以上に真っ直ぐな答え。
「…じゃあ」
あたしが言いかけると「でも」と強い声がそれを制した。
「できないんだよ」
藤堂君の声のトーンは変わった。
震えるようなそんな声。
「藤堂く…ひゃ///」
心配して声をかけた時にはあたしの体は藤堂君の腕の中に収まっていた。