「俺はね、きっと自分勝手だったんだよ」


藤堂君が遠くを見つめる。


「自分の練習に必死でレギュラーを取れない仲間のことを考えれてなかった」


「そんなの…」


藤堂君が悪くなんかない。


そう言いたくなるのを必死にこらえた。


「彼らがどんな気持ちで練習してきたかも理解できないで…」


そう言って藤堂君が嗚咽を漏らす。


「藤堂君っ」


「ちょっと思い出しちゃっただけ。大丈夫だから聞いてほしいな」


藤堂君はまた笑った。


「うん…」


「2年前にね…」


藤堂君が話し始めた。