片方のまゆを下げて困ったように笑う。


「さっき莉子ちゃんとパス練習したけど、あれは一人じゃできないでしょ」


「うん」


「一人で蹴ったら、どこか遠くにボールが飛んでいくだけ。サッカーは団体競技なんだよ」


「うん」


「だからどんなに練習を頑張っても、どんなに上手くなっても、信頼してパスを回してくれる仲間がいないとサッカーはできない」


「そうだね…」


「だから、チームメイトに信頼されないような俺にはサッカーをやる資格はないんだ」



そう言って藤堂君が見せた無理した笑顔。


それを見ただけであたしの涙は堰を切ったように溢れだした。


仲間に蹴られ、殴られ怪我をした藤堂君。


それで失ったのはサッカーというスポーツだけじゃない。


仲間を大切にしていた藤堂君の心そのもの。


「…ごめんっ…ひく…」


「莉子ちゃんが泣くことじゃないでしょ」


藤堂君がそう言って頭を撫でてくれたけど


悲しすぎる過去と現実に涙が止まらない。


辛いのはあたしじゃないのに。