愛する人へ






ナオトと付き合いだしたのは、今から5年前・・・高校2年の夏。




ナオトは、同じ学校の同級生だ。



クラスが一緒になったことはなかったけど、見た目も頭もよく、全学年に人気があったから知っていた。










高校2年の1学期の終業式の日。



あたしはナオトに呼び出された。








「朝倉さん・・・俺、朝倉さんが好きなんだ。付き合ってくれないかな・・・」






「・・・え?」



一瞬、耳を疑った。



あの人気者の小野山ナオトがあたしを好き・・?付き合って・・・?



何かの冗談?



嘘でしょ?





そんなあたしの心を読み取ったのか、ナオトは自分の髪の毛をクシャっとさせて、





「びっくりするよね・・・話もしたことなかったし・・・
でも、俺、ずっと朝倉さんが好きだったんだ。だから・・・付き合ってほしい・・・」





「・・・でも・・・あたし、小野山くんの事何にも知らないし・・・」





「もちろん、今日初めて話したんだから、知らなくて当然だよ。これから・・・きっと好きになってもらえると思う。」





“これから好きになってもらえると思う”なんて、どこからそんな自信があるのか不思議だったけど、逆に断る理由がなかったから、あたしはその告白をOKした。






「よろしく・・・お願いします。」









あたし達が付き合いだした事は一気に知れ渡った。



間違いなくナオトファンに反感をかうだろうと覚悟はしていたけど、そんな事はなく、
どちらかというと、公認のカップルになっていた。