鼻先が触れてしまいそうな程、近く。


光弥の柔らかい前髪が、私の額を擽る。



一気に上昇していく体温と、近づいてく
る光弥の形のいい唇。



───キスされる……!!



「こらっ!」



その羞恥に耐えられなくて、というか、
耐えられる筈もなくて。



そう大声を張り上げれば、光弥が煩そう
に眉を潜めた。



けれど態勢は変わらない。



「……うるさいんだけど」



少し不機嫌そうな表情と声で、そう言っ
てくる光弥。



「こ、光弥が悪いんでしょ?あのね、い
きなりキスしようとしないで」


「じゃあ、いきなりじゃなかったらいい
んだ?」