どくどくと、心臓が煩い。



妙にあまったるいこの雰囲気が嫌で、頭
がくらくらして、何故か泣きたくなって




逃げたいのに、光弥がそれを許してくれ
ない。



ふと、光弥が耳元で、囁く。



「じゃあ、ピーマン抜きね?」



至極当然の条件を、光弥は出してきた。



ずるいとは思いながらも、それに私は頷
く事しか出来なくて。



きっとそれさえも、計算の内なんだろう
。彼にとっては。



「じゃあ、はい。離してやるよ」



ふっと、光弥の腕の力が弱まって、やっ
とこの息苦しい空間から逃れられる事に
安堵の息をついたのだった。



───が。



「───って、簡単に離すとでも?」