それ以上のことは何もなかった。
ま、当たり前だよね。

二人同時に体を離して、自然と歩きだした。





「おい!秦野~!」

砂浜に着くと先輩の友達がそう言った。


あ!真矢だ!!

先輩の友達の隣には真矢の姿があった。

涙が溢れた。

真矢、よかった…。


泣いて動けないでいるあたしの背中を、先輩が押してくれた。

その勢いで、あたしは真矢に抱きついた。
真矢は、ごめんね ってずっと言ってた。
謝らないでって言っているのに。

「悠亜だけでごめん」って

そんなこと言わないでほしい。
悠亜だけでよかったよ。
真矢は、いなくてよかったって
本当にそう思った。

二人で涙を吹きあって、先輩にお礼を言った。

先輩は、あたしの頭を自分の肩にくっつけて、「誰にも言わねーから。」と言った。