話し終わった時、ユメはいつものユメに戻っていた。
そこでボクは今ならばと泣いていた理由を聞いた。

「あのさ、ユメちゃん…なんで泣いていたの?」

すると少しユメは顔を曇らせて言った…

「実はね…シュンからライヴのチケットが届いたの…」

「ライヴのチケット?」

「うん…今度、SWATが昔シュンがよく使ってたライヴハウスでライヴやるんだって…そのチケット…初めは嬉しかったよ…でも、シュンに会ったら、せっかく忘れかけてたのに忘れられなくなると思った自分がいたの…それが情けなくて…悔しくて…」

そしてまたユメは泣き出してしまった。

ボクはユメの事を何にも知らなかった。
知ろうとすらしてなかった… ユメを知れば知るほどやっと芽生えた恋心が霞んでしまいそうで怖かったから…

《自分が恥ずかしい…こんな自分を変えたい…》

そう思った瞬間、ボクはユメを抱き締めていた。

「元カレなんて俺が忘れさせてやるよ。だからもう泣くな。」

「えっ!?」

ユメは驚いて泣き止んだ。
ボクはユメの頬の涙を吹きそのままユメの唇にキスをし、ユメの頭を軽く撫でた。

あの時のユメの笑顔は今でも覚えている。