* * * * *
それからほどなくして入学式は終わり、私たちは自分のクラスに向かうことになった。
私のクラスは、1年3組。
講堂を出てさっさと教室に向かいたいところだけど…
「きゃぁぁあ!!!/// 朔夜くんこっち向いて~!」
「なによアンタっ! 押さないでよ!」
「ちょっとどいて! 朔夜く~んっ!」
うぅぅ… 通れない…
さきほどの新入生代表、玖澄さんのまわりに、たくさんの女子の群がり。
そのせいで、私は講堂から出られずにいた。
「ちょ…っ 通して…」
「なんなのよっ! 割り込まないで!」
「ひぃっ ご…ごめんなさぁ~い…」
さっきっからずっとこんな調子。
恋する(?)女子の鉄壁の、堅いこと堅いこと。
そんな怖い顔で睨まないでくださいよ…
別に割り込もうとしてるわけじゃないんですよぅ…
そう思っても、通れないものは通れない。
仕方ない…
この人波がどこかへ流れていくまで辛抱強く待つしかないか。
当の玖澄さんも、女子の群がりから抜け出せないでいるみたいだし…。
それでも爽やかスマイルを絶やさない玖澄さんは凄いと思う。
その優しさもモテ要素のひとつなんだろうなぁ。
ほらまた一人女の子が増えて…
私の後ろから、玖澄さんのもとに向かって走る女子が、一人やってくる。
その子は必死に走るあまり、まわりが見えていないようだった。
「どいてっ!!」
――――ドンッ!
「きゃぁっ?!」
私は、盛大にアタックされてしまう。
そのアタックがまた力強くて…
グラリと体が傾き、私はバランスが保てなくなった。
やば…っ 倒れる…!
瞬時にそう思い、ぎゅっと目をつぶる。
床に叩きつけられる衝撃を予想し、冷たくなる体。
「…っ!」