* * * * *




「……」


「ご、ごめんって祈璃くん…」



そして祈璃くんは、怒っていた。


もちろん怒らせたのは私だけど。



さっき
「怒った顔も可愛いね…」



なんて言わなければよかった…。




「ほ、ほぉ~ら、アメ食べる?」


なんとか機嫌直してもらいたい…!


そう思った私は、カバンの中から常備しているアメを取り出す。


これでどうか機嫌直してください…!!



「ぶどう、レモン、ピーチにパイン…いろいろあるよ~。 祈璃くんには…いちごアメなんて似合うよね~」



「…ねぇ、亜生?」



「ははは、はいっ!」



「バカにしてるのかな?」



……ですよね~…。


いくら可愛い顔してても、高校生の、しかも男子が…

アメにつられるわけないですよね…。 はい。バカにしてすいません…。



「ごめんなさぁ~い…」


心の中で懺悔し、すごすごとアメをカバンの中にしまい込む。



じゃぁ他に何があるかなぁ…。


どうしたら祈璃くんはまたあの可愛い天使スマイルを見せてくれるのかしら…



うーむ…

私は頭を抱え込む。


その様子を、横目でじっと見つめる祈璃くん。


「……」




…やがて祈璃くんは、やれやれと肩をすくめ、
面倒くさそうに口を開いた。