「遅いよ~~~っ!!!」
―――――ドカッ!
「ふげぇ!!」
……え、なぜ?
ワケが分からない。
遅れて、息を切らして教室に入った私に、
なぜか、涙声のアタックが炸裂した。
「え、あ、あの…?」
おかしいよね?
体罰? これは体罰?
そんな私の疑問など露知らず、アタック主は私に抱きついてわんわんと騒ぐ。
「なんでこんな遅いの~!! 心配したじゃん!」
「え…? えっとぉ? す、すいません…?」
わけも分からず、とりあえず謝ってしまう私。
って! その前にこの人は誰?!
「も~ぉ!! 僕も若くないんだから寿命縮めないでよっ?!」
その騒がしい人は、やっと私から離れ、ポンポンと頭を叩いた。
やっと、その人の全体像が見れる。
「えっと… 先生…?」
その人は、生徒の制服とは違う、私服を着ていた。
先生らしくないちょっと派手めな服装。
背は高く、キリッとすれば結構なイケメンなんだろうけど…
今は顔をだらしなくゆるめ、泣きそうな顔をしてるから、なんだか子供みたいだった。
「あの…担任の先生…ですか?」
私が聞くと、その人はいきなり顔をキラキラ笑顔に変えた。
なんて表情のパーツが多い人だろう。
「僕は、このクラスの担任、華嵩蒼眞だよっ!」
キラキラ笑顔で、めちゃくちゃ元気に自己紹介してくれた。
「君は…」
それから、名簿をペラペラとめくりだす華嵩先生。
少しして私の名前を見つけ出したらしく、名簿から顔を上げ、言った。
「美風亜生ちゃんっ!」
「はい!」
まるで出席をとるみたいに、私も元気に返事をする。
こんなにぎやかな先生が担任なんだぁ!
なんだか嬉しいな♪
楽しくなりそう!