ひとつ、わかった。



侑宇、

杜神くんは人間不信なんかじゃないよ。


純粋すぎて、優しすぎて、すごくいい子だから

その分、傷つきやすくて、傷つくのが怖くて。

それでも、やっぱり裏切れなくて

また、傷つく。


人を怖がってるかもしてないけど、人を信じてるから、人を疑えないから、

だから、こんなにも悲しそうな目をするんだよ。


傷ついても傷ついても、やっぱり信じてるから。






「…杜神くん」


「…っ?!」



私は、杜神くんを抱きしめた。


途端、固くなる杜神くんの体。


その背中を優しくさすり、ゆっくりと言った。



「わかってるよ。 誰がわからなくても。 私が、杜神くんの優しさをちゃんとわかってる」



杜神くんの体の力が抜ける。


甘えるように私に体重をあずけ、安心したようにほぅ…っと息をついた。



ほら、こんな素直でいい子。

誰よりも優しい、とってもいい子。




「杜神くん…」


もう寂しくない?


そう聞こうとして、杜神くんの言葉が私の言葉をさえぎった。



「…刹那」


「へ?」


「刹那、って呼んで。 亜生」



…こんなに、かわいい子。

どうして、怖いヤンキーだなんて思えるんだろう。




私は、心からの笑顔で、

「…うん!」



そう言ってまたぎゅっと刹那を抱きしめ、二人で笑いあった。