「あのねっ、優」
謝らなきゃ!謝らなきゃ!
今日はバレンタインデーだから優の嬉しそうな顔を見るの楽しみにしてたのに。
「早く杏ベッドに戻って。話は熱が下がってからでいいから」
優はそう言いながらベッドに入ったあたしに目も向けずりんごが入ったお皿を差し出してきた。
こんなのよくない!絶対によくない!
このまま寝るなんてそんな悠長なことなんてできる訳ない!
「嫌だ!あたしは優と話がしたいの!話をしてからじゃないと絶対に寝ない……ぐすっ」
限界を超えた涙はとうとう目の中だけでは収まりきれなくて出てきてしまった。
あー……泣いたって何も変わらないのに。
余計に優を怒らすに決まっているのに……
ーーコトン
と小さな音がすると、それからすぐにふわっと優しく抱き締められた。