「んー……あれ?」



強引に引き離されて起きたのだろう。



杏は瞼を擦りながら寝ぼけている。



「……いいから。病人は早くベッドで寝てて」



杏を俺のベッドに寝かせて、はぁーっとため息をつくと部屋のドアを閉めた。



「それで?」



俺は兄貴に向かって冷たい視線を向けて答えを求めた。



大体、兄貴が来なければこんなことにはならなかったのに。



「それでって何だよ?俺はただ今日バレンタインだし、杏ちゃんにチョコレートもらいにきただけ!」



「……は?」



呆れて何も他に言葉が出てこなかった。



大体自分だって彼女というか婚約者がいるくせに、なんでわざわざ杏にチョコレートをもらいに来るんだよ!



それから兄貴に俺は今まであったことをすべて話させた。