あたしは急いで靴を脱ぐと、「お邪魔します」も何も言わずに
中に入って優に抱き着いた。
「優……なんで家にいるのにメール返してくれなかったの?」
ここに誰か来る予定だったのかな?
だからあたしには返事してくれなかったのかな?
もしかしたら女の人とか?
そんなことを考えてたら泣きそうになってきた。
「びっくりした!……杏ちゃん?」
な……なんで?どうして杏ちゃんって呼ぶの?
あたし以外の人にも鍵を渡してるから聞いてきたの?
「……杏ちゃんなんて呼ばないでよ、ぐすっふぇ」
あたしはもっとぎゅっと優に抱き着いて、
優が抱き締めてくれるのを泣きながらずっと待っていたんだ。