優の家のマンションまで来ると、だんだん今度は体がだるくなり始めてきた。 そんなに寒くないはずなのに寒気もしてくるし。 「……でも、絶対風邪なんか引いてない」 だってここ何年間も風邪なんか引かなかったもん。 これは風邪なんかじゃない。 そう言い聞かして、あたしは優の部屋の鍵を ――カチャ と開けたんだ。 そして電気が点いていることに気付いて一瞬で不安になった。