「オ邪魔シマシタ。」

 そういって彼女はパタンと扉を閉じる。

 オレって絶対かわいそうだと思うよ、我ながら。

「ちょっと、まっ……ちっがぁぁぁーうっ!」


 このまま彼女から兄に、そして萌にも伝わってしまうのだろうか。


「どうしたんですか?」

 アンタせいだ!

「……もう、いいよ…」

 きっと明日からホモだゲイだって言われるんだ。

 彼女からだけじゃなく、ありとあらゆる人から。


 オレは──

「女がすきだぁ……」

 涙がでそうだった。

ポツリと呟いた言葉に、早乙女さんがようやくオレの気持ちを理解したようだ。

「ぼ、僕だって女の人が好きですよ!」

 なんの誤解だよ!ってツッコむ気さえうせてしまっていた。

「……そういえば、さっきの子、葵さんのコレですか?」

 そういうなり少し意地悪そうに小指を突き出してきた。

「ち、ちっがうよ!!」

 その表現方法にも、その意味にも否定した。

おかげさまで、さっきの落ち込みもふっとんでしまう。

「もう、なんなんですか、一体……」

 力の抜けきったオレに、相変わらずごにょごにょと呟いてる。

 いい加減、ココまで来るといらだち始める。

「んもー!ハッキリいってくださいよ!」

 荒げた声にビックリして、彼は頭を抱えながら怯えて叫びだした。



「あ、あのっ、僕っ、女の人が苦手なんですっ」