そんなオレを覗き込んできたのは、秋さん。

「電話の方よね?やっぱり、彼女?」

 ニッコリと微笑む。

が、とんでもない誤解だ。


「ま、待ってくださいよ!どうしてそうなるんですか!?」

「本当にね!こっちだって願い下げだわ!」


 力いっぱいの否定も、彼女が加わることによって、なぜかカチンと頭にくる。

プンと、腕を組んでそっぽ向く彼女に、ギリリと奥歯を噛んだ。


「あ~の~なぁ…っ!」

 もはやオレと彼女はいつも通り、臨戦体勢に入った。

こうなると口論、そして彼女の武器が炸裂するのが定番だ。


 …ちなみに、面子のためにも言っておく。

オレは女性に手を上げることは決してしない。


 敢えて叩かれてやってるんだ!
その辺、間違えないでおいてくれよな。


 今にも彼女との戦闘が始る鐘が聞こえそうなときだった。


「まあ、別にアタシにはどっちでもいいんだけどネ」


 秋さんがそういうなり、ソファの端っこでにらみ合うオレの背中にピッタリと張り付いてきた。

驚きのあまり、体がビクンと硬直した。

「あ…あの……」