すると、

「おっさん、捕まりてぇの?」

え?

低い声で誰かがおじさんに言った。

「チッ!」

おじさんは舌打ちをして

消えていった。

「大丈夫?」

助けてくれた人は

同じ制服を着た男の子だった。

『はぃ。ありがとうござぃます。』

かっこいい…

おとぎ話から出てきた王子様みたぃ。

ガタン

突然電車が揺れた。

『きゃっ!』

「おっと!大丈夫?」

私は、男の子に抱き締められる形になった。

温かい…。

男の子の体温って温かいんだ…。

ホームにつくまで

私達は無言だった。