「普通に考えておかしいでしょ、その光景」

「うん、なんかあれだよね。シュールレアリスム」

「何ちょっとインテリぶってんのっ。そうじゃなくて、どうしてそんなことになったのか、てこと!」



ばんっ、と強くテーブルをたたけば、テーブルの上のカップの中身が大きく波立った。


二人は驚いた様子で顔を見合わせ、それから私を見る。



「そーいえばきいてなかったね」

「そーいえばきかれてなかったなあ」

「ねえ、何があったの??」


少年は紅茶を口に運ぶ。



「ちょっと捨てられちゃったんです」

「え?」

「捨てられちゃったんで、あそこにいたんです。誰かに拾ってほしいなあ、て」


…。


あれ、なんか結構ディープな話?



「……ええと、それって誰に捨てられたのか、きいて平気?言いたくなきゃ言わなくていいから」


少し聞きづらいが、一応きいておく。



「母親です」



これまたあっさりと、しかしディープな現実を口にする。