「…光輝君」



地を這うような低音で声を出す。



「わー、めーちゃんすっごい低い声出るんですねっ」



感心されても嬉しくないっ。



「これは何の真似かな?」


「めーちゃん来て早々お休みモードに入ったから、せめてものお慰めに」


「…」



慰めになってない。
むしろ嫌がらせだ。



「お姉さんは気にせず、若者は若者で楽しんできていいんだよ光輝君」


「一人じゃさびしーので、めーちゃんも一緒に遊んでほしぃー」


「一人で遊べ」

「えー」



何だろう、なんかりりを相手にしている時のような、いらって感じがする。


そしてその感覚は、やっぱり的を得ていて。



私が負けるのだ。



「わっ」

「めーちゃんびしょ濡れー」

「君がやったんでしょ、光輝君っ」

「涼しくていいでしょ?」
「…(いら)」

「わ、めーちゃん不意打ちは卑怯ですっ」

「君、人のこと言えないでしょ」

「もー、えいっ」
「ちょ、にゃあああ」
「はは、何今のー。めーちゃんかわい~」

「(いらっ)」



最終的に濡れ鼠が二匹、仕上がって終わった。