「ああ、すっきり~。やっぱお風呂大好きー」


「私は疲れた…」


バスタオルで頭を拭きながらリビングにいけば、光輝君がまだベッドの上に丸まっていた。


猫のようだ。



りりはそのまま鼻歌を歌いながらドライヤーで髪を乾かし始めたので、私は体内にたまったなんかやりきれない思いのこもった息を吐いて、光輝君に近づいた。



起こそうと手を伸ばすと、少年は小さく頭を振った。


さらさらの猫っ毛に埋もれた顔が少しだけ見えて、思わずうっとなる。


りりでかわいい子にはなれているが、それとはまた違った感じの光輝君のせいか、変なダメージを受けた。なぜだ、なぜ私の周りにはこうかわいい子が集まるんだ。私にはかわいい子が集まる磁場が備わっているのか。迷惑だ。どっかの科学者に頼って、どうにか撤去してほしい。


やりきれない息とは別の、なんか今すぐ逃がしたい息をはいて、今度こそ光輝君の背中をゆすった。



「光輝君、起きて。朝だよ」


「ん~…」


「ほら。もう八時過ぎてるから、起きて」



更に体をゆすり、光輝君はようやく目を開ける。


「めー…ちゃ…?」


「ほら、しゃんとして」



両肩をつかんで起こしてあげる。


華奢なわりにしっかりとした肩をしていて、少しだけ吃驚した。