「…ハァッ」


「何してんの」


びっくりして声も出ない。

「お、さかくん」


…出てるし。


「…行くよ」


は―、とめんどくさいことに巻き込まれた的な盛大なため息をついたものの、私を背中に乗せる。


貧血になって良かったかも、なんて不謹慎なことを考えてしまう。


背中広いな。とか、いい匂いする。とか、思い切り逢坂くんの背中を堪能してしまった。

「お姫様だっこ、が良かったな」


「…生意気」



冷たい言葉だけど、優しい柔らかい口調。


(あー、なんか安心する)


私はいつの間にか寝てしまっていた。