戸上:『ついさっきまで お前の存在自体知らない 全くのアカの他人だったのに、今じゃ こうやって電話で話してんだせ?…なんかスゲーなぁって思ってな(笑)』
佐倉:『まぁ、それって 戸上さんが強引なせいなんだけどね(笑)』
戸上:『なんだよ、お前がイタズラ電話なんかするからだろ』
佐倉:『それは…すみません』

それから たわいのない話しを少しして、二人は電話を切った。赤の他人だった筈の男の人と、何故 こんな風に話しが出来たのか、今までの自分からは 全く想像が出来ないけれど、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。その明るく 人懐っこい言葉から、彼の人柄が手に取るように感じられたからだろう。
それからも 度々 電話で話すようになった。その度に二人の距離は縮んでいき、いつしか いつでも すぐ側に居る存在へと変わっていったのだった。