それからと言うもの、凌は本性を見せたかのように暴力が日常化していった。
私は、何もしていなくても殴られる。
周りからは優しい彼氏って見られてたけど
私の前で見せる凌の素顔は、悪魔そのものだった。
昔のことを思い出していると
いつの間にか凌の家に着いていた。
この家には毎日通っている。
そして、毎日のようにあの“行為”をされるんだ。
凌が家の鍵を開け、家に入っていく。
私も家に入る。
「脱げ」
その魔の一言で始まるんだ。
魔の時間が…。
行為を終えた後、いつも凌は私に1回だけ優しい甘いキスをしてくれる。
その瞬間だけ、ほんの一瞬だけ、凌を好きになる瞬間。
そんな私もバカだと想う。
私の隣でぐっすりと寝ている凌。
どっかの二枚目俳優さんに似ている凌の顔は寝ている時はすごくカッコよかった。
そして、私は今日も凌の首を見る。
今までに何回も思ったこと。
この首を絞めたら、私は解放されるのだろうか…と。
凌を起こさないようにそっとベッドから出て、急いで凌の家を去った。
何故か今日は、いつもよりも気分が沈んでて
いつもよりも、苦しかった。
いつもと変わらない日常なのに…。
家までの帰り道、
私は涙がこぼれ落ちないように上を向いて歩いてた。
だから、気づかなかったんだ。
君が、目の前にいた事に…。