でも・・・
『あたしの手は・・・何度洗っても真っ赤な血に染まって見える。他の人の手は、真っ白。何の穢れも持っていないんだ。』
それが・・・たまに・・・怖い。
「加奈っっ!!」
抱きしめようとあたしを引き寄せるユウの腕を・・・純粋なユウの心を叩き落した。
『やめてっ!あたしに触らないで。』
「加奈!?」
同情なんていらない。
あたしは、ただ一人・・・。
希を助けただけなんだから。
『あたしは・・・同情なんていらないっっ!!ほしいのはっっ!!』
希の幸せそうな笑顔だけ。
あたしが会いに行ったところで、嫌な記憶をおもいだすだけ。
だから、幸せであることをあたしは願うだけ。
「加奈。俺はっ!」
『昨日はごめん。迷惑かけた。まだ、熱あるっぽいから寝るわ。もう帰って良いよ、』
「かっ」
『かえって。』
そう強くいうと黙ってユウは立ち上がった。
私の部屋から出て行くとき振り返って
「加奈。俺は・・・同情で抱きしめようなんてしないから。俺は・・・。話し聞けてよかった。昨日から、こっちに戻ってきたからよろしくな。」
そういって出て行った。
何よ・・・。
どうせ・・・同情のクセに・・・。
涙が、どうしても出てきて・・・悔しいよっ!
自分の手を見ると、真っ赤な手が涙でぼやけて見えた。