「有希(あき)、知り合い?」 口を開いたのは、自分と一緒に歩いていた友達だった。 有希。有希だ。 私は、有希。 久村有希(くむらあき)だ。 「…」 しかし自分、有希は口を開かない。 「ごめんなさい、有希、最近ボーッとしてて」 代わりに、有希の隣にいる友達が答える。 「蓮先輩の彼女さん…」 突然そう答えた自分、有希は 悲しそうな瞳をこちらに向け、 「ですよね…?」 そう言った。