「…あたし、蓮が好きだよ」
「…」
その指先に、離れないで欲しいと切望しながら自分の指先で覆った。
いなくならないで。
今はまだ、あたしから離れないで欲しい。
「…大学は離れたくないけど、…今までの思い出があるから、あたしは大丈夫だよ」
「…沙那」
「これからまた思い出は残せば良いよね。…大丈夫。離れても、あたしはやっていけるよ」
「…」
すこしだけ、視線を落とす。不安が一切ないわけじゃないけれど。
…でも、大丈夫だと思いたい。大丈夫だと信じたい。
何度か自分に言い聞かせていく。…大丈夫。
「…あたしは蓮が好きなのは、変わらないよ」
「…ああ」