「俺が嫌だって言ったら沙那は進路先替えられんのかよ」
「、…それは」
口籠もる。
すると、蓮は困惑するあたしの頬に指先を宛がった。
「…、蓮?」名前を呼んでみるが返答はない。困惑した表情を構わず晒すあたし。蓮は今、なにを考えてる?
「…言いたいことあるなら言えよ。今だけ、聞いてやるから」
「、」
太陽が沈んでいくその姿は、とても幻想的で。
それを見ると今のこの状況は、もしかしたら夢なんじゃないかと思うほどだった。
だけど、違う。夢じゃない。蓮の指先から伝わる体温が現実であることを示している。
――――すっ、と短く息を吸った。