「…ここも、なんにも考えないで受験したから。…あたし、どうしたらいいかわかんない」
「…」
【なんとなく】で、この高校を選んで受験した。
周りはもう、着々と来年の春に向けて準備を始めている。
春を笑顔で迎えられるように。後悔しないで迎えられるように、皆必死になってる。
例に漏れず、あたしだって必死にはなってる。きっと目前にいる蓮だって必死なんだ。
…でも掴めないんだよ。…自分の目標とか、掴めないし見えないし、考えられない。
「…どうするんだよ。明後日だろ、対談」
「…そうだけど、さ」
「……」
「…やりたいことが、ないわけじゃないけど」