さすがに午後七時を回ろうとした時、いい加減飽きたのか、もう帰ろうかという雰囲気が生まれた。

俺にとっては、二時間もこんなところで時間をつぶせること自体が信じられないのだが。

ダラダラした足取りの集団の中。戦利品、ナッツ入りのチョコバーを頬張りながら、ゲーセンの出口へと向かう。

もうすぐ夕飯の時間で腹が減っているからか、案外すんなり舌に馴染む、安っぽいチョコの味。

美味しいけれど、そのくせ、夕飯は塩辛いものがいいなぁ、なんてことを思う。ラーメンとか、チクワたっぷり入った焼きソバとか。ギョーザもいいな。片面焼きの、パリパリしたやつ。


喉と肺は、後だ。

ゲーセンの自動ドアから出た足先から最初に、新鮮な空気がしみこんできた。

やっと抜け出た、こもった空気。新鮮な空気は、やっぱりいい。気持ちいい。自動ドアの内側に閉じ込められていない、自由な外気に触れたら、空腹感が一気に増す。


背伸びをしたくなって、すっと。

腕を上げると同時に、一歩踏み出そうとした、その一瞬だった。


「─────っ」