高校生にもなってあばれるな、とか、もうちょっと落ち着け、とか。

それよりも何よりも、俺が高嶋に言いたいのは、その腰パンからはみ出たピンクと紫のドット模様の下着はどうかってトコロだ。…毒キノコが尻から生えてるみたいだぞ、お前。

ため息を一つ落とすと、心細げに俺を見上げるノートを開いた。

買った当初、新品だった頃は自慢げに、胸を張っているかのように見えたのに、どうしてこう使い込んでいくと、その魅力が色あせていくんだろう。


「おっはようございまぁす!!」


クラスメイト全員が席について間もなく、教室に入ってきた黒髪の女。

長くも短くもない中途半端な髪を団子頭にして、女子高生じゃ決して選ばないような、大きな茶色いクリップで留めている。

安達タカコ。俺たちの担任。
体育教師と間違いそうなくらい張り切った声が、窓を揺らす勢いで響き渡る。

…つい先ほど、ほんと死ねよ、なんて言われていたことを、彼女は知らない。


「――朝海くん」


肘を机について、視線を落とした時だった。

雑でもない、うるさくもない、軽々しくもない。透き通った声が、おれの名を呼んだ。

反射的に、背筋がぐっと伸びる。


「…え」
「はい。落ちてたよ」