熱い太陽を十分に吸い込んで、ふてぶてしく光っている、銀のフレーム。
ホッと、一人で息を吐く。
制服の下でじんわり滲んだ汗を、早く吹き飛ばしたい。多分今日だけで、制服の生地はもう三回くらい、たっぷりと俺の汗を吸い込んでいる。
ストッパーを蹴って外す。足の裏にカコン、と、乾いた音が響く。
授業中寝ることはよくあっても、授業を抜け出したことなんてないけれど。
…全部をほっぽり出して走り去るのは、どんなかんじなんだろう。
それは気持ち良いことなのか、それとも、戻りたくなるものなのか。
自転車にまたがり、校門に向かってこぎ出す。
いよいよしっかりとペダルに体重を乗せようとした時、ふいに目に映り込んだ。
「────」
サラリとなびく、長い髪。
その光景が目から、腕へと伝わって、俺の両手はブレーキを握る。
キュウ、と、喉が締まるような音がして、自転車が止まる。
ハッと、短い息が漏れた。