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「また明日なぁーっ!」
「朝海ぃ~バイバーイ!」


気だるさが漂う昼過ぎ。放課後。

そんな時間にピッタリの、間延びした声がいくつか、背中に飛んだ。

振り返らずに、手を挙げる。
歩く度、騒がしいカタマリが、少しずつ遠くなる。

放課後の明るい時間に通る廊下は、距離を伸ばしたように長く感じる。


あの合コンの日から、高嶋たちが放課後誘ってくることは減っていた。

各々がデートや次の約束を取り付けるメールの制作で忙しいらしい。

高嶋は、合コンに来ていた女にはどうやらフラれたらしいが、そのツテを最大限利用してその女の友達を紹介してもらっていた。

…その根性をもっと違う方向に生かせば、多分お前、結構かしこいのに。


二年生は、高校の、真ん中の時間だ。

受験勉強に終われることもなければ、新鮮さに心が躍ることもない。

当たり前のことが当たり前に終わる、それだけで。刺激的なものなんて、誰と誰が付き合ったーとか、食堂前の自販機の炭酸くらいだった。


ああ、あと、もう一つ。


最近変わったことと言えば、校内で自転車が盗まれる事件があったくらいか。

続けて数台。久しぶりの緊急校内放送が流れて、その時だけはうちのクラスも大人しかった。