──幼馴染み。
俺と星治の関係は、まさしくソレだった。
家は、同じマンションの隣同士。横並びのベランダに出れば、すぐに会話が始まる距離。
生まれた時からそうだった。
だから必然的に、俺と星治はずっと一緒にいた。
俺たちはよく似ていた。好きなスポーツ、よく聴くバンド、それに学力。
同じ高校に入学した俺たちが割り振られたのは、一年二組。
ここまで来て同じクラスかよと、星治が悪づいて。こっちの台詞だと、互いに笑ったものだ。
一年二組。
そのクラスメイトの中に、宝田 清(タカラダキヨラ)もいた。
宝田は、とても綺麗な女子だった。
とても綺麗に笑う彼女は、頭が良くて、控え目で、みんなに優しかった。
俺が宝田を好きになるのに、そう時間はかからなかったと思う。
そして同じく、星治も。
星治の口から聞いたわけではない。でも気付いた。
互いに口に出すことはなかった。口に出すことはなく、目で追っていた。
きっと星治も、俺の気持ちに気付いてた。
…ずっと。
春、夏、秋、冬。
名付けることが難しい、それぞれの季節の変わり目でさえも。
俺と星治は、馬鹿みたいにずっと一緒だったから。
あの日。
「なぁ…、朝海」
放課後、星治があの言葉を口にするまでは。
「…宝田と、付き合うことんなった」