「あ、あのさ…
結衣って俺のこと嫌い?」

控えめに、少し悲しそうにそう聞く翔。



そんなの…

『き、嫌いじゃないよ!』

嫌いなんかじゃない、絶対嫌いになんかならない。

…なんて言えなくて。
必死に否定することだけで精一杯だ。



そんなあたしに少し驚いた表情を見せた後、また困ったように髪の毛をいじる。

「こんなこと思うのダセーけど、あの日からずっと俺のこと避けるし。
返事ももらってねーからさ、わかんなくて…」


そう言う翔は、なんだか傷ついた表情をしている気がした。
…違う、あたしが傷つけたんだ。