でも
あれから一回だけ
しゃべった。

「梨香は俺がいなくなったら嬉しいか?」

「…うん」

お父さんの口からは
ほんのりお酒の匂いがした。

そのまま
お父さんは
出ていった。

外からは車のエンジン音が聞こえた。

もしかして…



もう遅かった。

聞こえるはずの無い
救急車のサイレンは
今でも頭に響いてる。