そんなことを考えながら放課後の教室で1人佇んでいると

「君、帰らないの?」

誰かに声をかけられた。びっくり。誰もいないはずの教室に男の子が居た。
あ……この子もしかして。

「平野タツミくん……?」

「あ、名前もう覚えてくれたんだ?嬉しいな♪」

覚えてるに決まってる。自己紹介の時にこの子だけオーラが違ったもん。なんていうか……他の人には無い何かを、この子は持ってる。

「えっとまだ帰らないの?……七瀬さん?」

「ミコノで良いよ、平野くん。っていうか私の名前覚えて……?」

「あぁいや、名札。下の名前はミコノさんか……」

名札!!そうだよね!私なんかの名前覚えてるわけないじゃんあああ恥ずかしいっ

「ミコノさん……ミコノさん?もしかして何か帰りたくない事情とかあるのかな?」

「えっと……特には。佇んでただけです!」

そう言うと平野くんは少し俯いた。どうしたのかな?具合でも悪いのかな?

「佇んでただけ、ね……ふふふ、アハハハ!」

平野くんは突然笑いだした。え?私何か変なこと言ったかな?

「あ、いきなり笑っちゃってごめん!なんだか面白い子だなって!」

「そ、そうかなぁ?」

「うん、すごく。ミコノさんは面白い子だよ。うん」

「あ、ありがとう……?」

「ふふふ、どういたしまして」

その後私は平野くんと途中まで一緒に帰った。平野くんは私の家の近くらしい。ちょうど学区の境目で平野くんは西中学に行ってたらしい。

平野タツミくん……ちょっと気になる、かな。