「ご飯できたよ〜」
家族6人+マサキ
テーブルにつくと結構な圧迫感
「っで隆弘のギターはどぅ?」
「。。。。あ〜」
「微妙なんだ。。爆」
「そんなことないって!!」
「素質ないんじゃない?笑」
「うるさ〜い」
「基礎は教えたから後は自己練なっ」
「わかったぁ。また分からなかったら教えて」
「おぅ」
やっぱりお母さんの料理はおいしくて、どんどん食が進む。
さすがに運転のあるマサキはビールは断ってたけど。
「じゃあもぅ遅いしそろそろ帰るね」
「マサキ君またおいでね」
「ありがとございます」
みんなに見送られて実家をでた
「やっぱり沙希んちはいいなぁ」
帰りの車の中でマサキがしみじみと言う
「そういってもらえてうれしい」
「。。。。。。」
車がマンションの前につく
「今日はほんとゴメンね。ありがとぅ」
「全然いいょ。。。
俺。。。。なんで沙希と別れたのかな。。。。
沙希。。。俺。。。。」
それ以上の言葉を聞くのが怖くて車の外にでる
「沙希!」
マサキも降りてくる
「俺。。。。まだ沙希が好きだ」
手を持って引き寄せられる。
「でも。。。。アタシ彼氏いる!」
抱きしめられた体が離れられない
「沙希?」
「。。。。。」
声のする方をゆっくり見る
。。。。高井さん
深く被った帽子をとる
「何やってんの?」
マサキも高井さんの方も向く
「。。。。。」
。。。バレた
「高井 祐介?」
「そうだよ」
「なんで?」
「なんで?
沙希は俺の女だから」
「。。。。。。」
この状況が怖くて、高井さんの目が見れない
「沙希の気持ちが分かってよかったょ」
「。。。。違うょ」
「ちょっと仕事の途中抜け出してきただけだから。。。」
暗くて高井さんの表情がよく分からない。
アタシの方を向いてもくれない
「高井さん。」
ガチャ
車のドアが開く
「高井さん!!!」
ルームライトに照らされた高井さんの顔を見る
ただハンドルをじっとみつめてエンジンをかける
。。。嫌
「高井さん。
。。。高井さん!!」
そのまま車は走り出した
そのままアタシは地面に座り込んで動けない
「沙希。。。ゴメン」
「ううん。
。。。マサキ、ゴメン一人にして」
「分かった。」
アタシは立ち上がって部屋に入った
高井さんに電話してもただ呼び出し音がなるだけ
何回も何回もかけ直す
目の前は涙でよく見えない
高井さんでてょ
ケータイをつかんだまま動けない
。。。もう無理なの?
アタシが好きなのは高井サンだけなのに
その日電話がつながる事はなかった
もぅ外は明るい
動ける気力もない
もう一度だけかけてみよう
20コール目くらぃで留守電にかわる
。。どおしよぅ
『。。。もしもし沙希です
何回もかけてゴメンナサイ。
話がしたいです。』
それだけ入れるので精一杯だった。
それでも高井さんからの連絡はなかった
>沙希ゴメン。
自分の事しか考えてなかった。
彼氏に誤解とけるといいな。
俺にできる事あったら何でも言って。
マサキ。
マサキには頼れない
もぅ連絡ないかも知れない。。
どうしたらいいかも分からない。
テーブルの上のキーケースは渡せないまま
思えばアタシはもらってばっかりだった
アタシが高井さんにあげれた物ってなにかあった?
いつも高井さんはアタシのことを考えてくれてたのに。。。
もぅお互いに限界かもしれない。。。
考えれば考えるほど悪いほうに進む
高井さんは今どこにいるんだろう。。。
シャワーだけでも浴びよう
昨日から着たままの服を脱ぐ
お風呂までの距離が遠く感じる
胃が痛くて吐き気がする
ほんとアタシ何やってんの?
マサキの気持ちは薄々感じてたハズなのに。
バカだ。。
熱めのシャワーが冷えきった体にしみる
自業自得。
始めからこの恋はアタシには無理だったんだ
結局この日も高井さんと話すことはなかった
明日の仕事行きたくないな。。。。
ソファに寝転がり久しぶりにパソコンを開く
《高井祐介 熱愛》
これアタシのことなんだよね。
なんか今となればそれも夢だったような気がする
ファンの子の厳しい意見も今ならすんなり入ってくる
もしかしたら他人事のように思えるからかな
ファンの1人だったときたくさん集めた画像や動画がここにはたくさんある。
アタシが好きな笑顔の高井さん。
舞台中の真剣な顔。。
この人がアタシの彼氏だった。
もぅそれだけで十分じゃない?
。。。。疲れたよ
誰かが載せてる動画を再生する
。。。。声は無理
高井さんの姿を目で追う
。。。。会いたいよ
ここにいてもどうしようもない
タクシーで楓さんの店に向かう
迷惑がかかるかも知れない
高井さんはいないかも知れない
でも今行かなきゃダメになる
茶色くて大きなドアを開ける
「沙希ちゃん」
「祐介?」
「。。。。はぃ」
「う〜ん。。。
今は会わない方がいいんじゃないかな。」
「。。。でも」
「詳しいことは分からないけど今は会わない方がいい」
「。。。。」
「でもせっかくだからなんか食べな」
「でも。。」
食欲なんてない