王女の弟、カリレムと別れた後、私は王女の部屋に戻った。
そろそろ食べ終わっている頃だろう。





「失礼します、リリアス様。」



すると、そこにはベットに横になってブツブツ何かを呟いている様子のリリアス王女。




「? おやつも食べずにどうなさったのですか、リリアス様。」
「…おう、ミハリスか。 ………いや、あいつが憎くて憎くて…。ムカつくわ、あいつっ!」
「…カリレム様、ですね。」
「お主…まさか。」
「はい。彼は全てを私に話されました。」
「あいつっ…。今すぐ引っ捕らえよ! 死刑じゃ死刑!!!」
「落ち着いてください、リリアス様っ!」
「これが落ち着いていられるかっ!」
「何故ですかっ! 何故カリレム様を死刑になどとっ。」
「心から嫌っておるからじゃ!」
「お考え直しくださいませっ!!」


私は大声をあげた。
リリアス様はびっくりした顔でこちらを見る。


「ま、まさか、お主は、カイ側につくのか…!?」
「…いいえ、私はいつでもリリアス様の味方でこざいます。」
「ではなぜカイの死刑を拒む!」
「王妃様も王様も天に召され、残された肉親の御二方の闘いなど、無意味だと思います。」
「…そうか、死刑にできぬのなら暗殺すればよい。
 ミハリス、そなた、たしか剣の覚えがあったな。
 カリレム・メロディアムを暗殺しろ! 反抗するとそなたも死刑にするぞ。」




我がメロディアム帝国リリアス暴君王女は、笑いが止まらないみたい。



私は呆然と立ち尽くした。