カリレムさんの隠れ家の中は、気まずい雰囲気だった。
「カリレムさん、ミハリスさんが戻りました。」
そう言ったリハルサの横で、トユイルは小さくため息をついた。
カリレムさんは、こちらに歩みよってきて言った。
「ミハリスは、今、俺の護衛になりたい? それとも、戻ってリリアスの召使として生きていきたい?」
「私は…、貴方の護衛として、貴方を守って生きていきたいです。」
その瞬間、トユイルが吹き出し、リハルサが顔を赤らめて後ろを向いた。
「え…!? 私何か変なこと言いました??? 」
「ミハリスさん…、貴女は気づいてないのですね。」
トユイルは少し微笑んで言った。
「何が…?」
「いいです。貴女が気づくまで黙ってます。」
「酷いじゃないですか、トユイル…。」
私にはよくわからないけど、この隠れ家全体が、温かい空気に包まれたような感じがした。
私の中に沢山潜んでいたネガティブな疑問が全て無くなった。
もう何でもいい。理由がどうであれ、今私がここにいることができて幸せだ。