三年経ったら就職するなんて、私がうるさかったから深い意味はなく言っただけの言葉だ。私はこういう守の本音の部分を見ないフリをしていた。
だらだらとでいい、続いていさえすればいつか一緒になれると思っていた。
私にはそうやって自分勝手に思い込んでるところがあった。
でもそれをわかっていて、何も言わずに無視し続けた守も卑怯だ。
私は今までの寂しさやむなしさが、憎しみや怒りに変わっていった。
なにもかも許せなかった。
私が存在する意味が全て無くなった気がした。
たとえこんな関係でも、私が存在する意味に守は大きく関係していた。
これで自分と関わっている人間がひとりもいなくなった。
それは、私がいなくても誰も困らない、誰も悲しまないということだ。
私は気づいたら眉間にしわを寄せ、こめかみを押さえていた。
頭の痛みが私を襲う。吐き気がするほど痛んだ。
守は料理を全て食べ終え、残っていたコーヒを一口で飲み干した。
ダウンジャケットを羽織って、何も言わずに席を立った。
「・・・じゃあ。」
守は一瞬だけ私の方を見て言った。
「ちょっと待ってよ。」
私の声は震えていた。自分の想像以上に大きい声が出てしまった。
「・・・な、なんだよ。」
私の声に守の顔は少しおびえていた。
「・・・ここのお金払ってよ。自分が呼び出したんでしょ。」
私は、伝票を手に取り、守の目の前に突き出した。
「・・・あ?ああ。別にいいけど。もう連絡してくんなよ。」
守はレジの前へいそいでいき振り返ることなく足早に店を後にした。
道を横切って、完全に姿が見えなくなってしまった。
私はその姿を目で追っていた。気づいたら目から涙があふれていた。
最後にいいたいことがたくさんあったのにあんなことしかいえなかった自分が
とても悔しかった。
本当は色々なことを聞きたかったのに何も聞けなかった。