「ふべっ!!!」



顔面に思いっきり衝突したのは船のオール。
投げられたそれを手に持って船長さんを見ると、早く漕げよ、との無言の圧力。


ま、まぁあの島まで泳ぐよりはましだよね、うんうん。


自分を納得させると、オールを両手にゆっくりと漕ぎ進めていった。



オールを漕ぐなんて体験そうそうしたことがなく、なかなか前に進まない。
私のいた世界でも小舟を漕ぐことなんてカップルぐらいしか体験したことがないんじゃないのかなぁ?
どうせ私は彼氏なんていなかったですよー。なんてぶつぶつ言っていると、不意に後ろから両手を重ねられた。







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