「とっとと荷物準備しろ。もう他の奴らは荷物小舟に積んでんぞ。」
あごでくいっと船の外を示す船長さんにつられて顔を向けると、確かに荷物を積んでいる皆さん。
「10秒以内に持ってこい。」
いーち、にー…と数え始めた船長さんを余所に、私は全力で走り出した。
「……遅いぞ、20秒オーバーだ。」
「だいたい10秒なんて無理に……なんでもないです。」
ギロッと睨んできた船長さんについ言葉をとめる。
あんな顔されたら怖くて文句一つも言えないわ!
荷物を持って小舟の上に落とす。
すると、キャッチしてくれた人はなぜか荷物を小舟に積み終わるや否や海に飛び込んだ。
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