「どうして……」

放課後の美術室に、
自分の無気力な声が響き渡る。

目の前にある、何年も前に見た女性を描きかけた絵から無理やり視線を逸らすと、外に咲く満開の桜の木が眼に映り込んだ。


(ふざけるな、今は冬だ!)


艶やかに散る薄紅の花びら。

ひんやりとした涼風を運ぶ風。

漆黒の夜に淡い月光を放つ月。