「もしも、まだすみれが泰河を好きなら、あたし…」
麻姫の瞳がキッと鋭くなる。
こんな感情むきだしの麻姫をあたしは知らない。
いつも明るくて穏やかで、あたしと正反対な彼女の見せた意志、それは…
「すみれと、親友やめてでも泰河を選ぶから。…泰河は絶対渡さない!」
制服のスカートをぎゅっと握りしめ、麻姫はそう言った。
あたしは、また嘘をつかなくちゃいけないのかな。そしたら、誰も失わずに済む?
でも、思い出すのは、
「忘れないから」
あの人の声。唇。指先。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…